健康食品のマーケティングを成功させるための「U・U・C」とは?事例を交えて解説します!

健康食品のマーケティングを成功させるための「U・U・C」とは?事例を交えて解説します!

最終更新日:2024/04/26

健康食品市場の拡大とともに、そのマーケティング戦略も進化を続けています。消費者の健康意識の高まりは、企業にとって新たなチャンスとなり、独自性や顧客との関係性を強化することが成功の鍵とされています。

この記事では、マーケティングで重要な3つのアプローチの、USP・UGC・CRMを「U・U・C」と称して解説し、これらを駆使して市場で差別化を図る方法を探ります。

また、健康食品の現状やトレンド、成功事例を通じて、効果的なマーケティング戦略のヒントをご紹介します。

健康食品のマーケティングを成功させるための「U・U・C」

健康食品のマーケティングで重要なU・G・Cについて、1つずつ解説します。

USP(Unique Selling Proposition)を明確にする

USP、つまり独自の販売提案は、健康食品マーケティングにおける最も重要な概念の一つです。この戦略は、競合他社との差別化を図り、市場において自社製品の特異性を明確に打ち出すことに重点を置いています。

効果的なUSPを設定するためには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。

効果的なUSPを設定する3つのポイント

ポイント内容具体例
自社サービスで解決できる問題市場に存在する具体的な問題点を特定し、それに対する自社製品の解決策を明確に示す。特定の健康問題をターゲットにした機能性表示食品を販売する。
他社になくて自社にある機能自社製品が持つ独自の成分や技術など、競合製品とは異なる特徴を強調する。特殊な遠心分離法で、他社サプリメントにはない微小な成分を配合する。
他社にある機能で自社が優位な機能市場に存在する類似の機能を持つ製品の中でも、自社製品がどのようにして他社製品よりも優れているかをアピールするより高い吸収率、改善された味わい、コストパフォーマンスの良さなど

これらの要素を明確にすることで、健康食品のマーケティング戦略において、消費者に対して明確かつ説得力のあるメッセージを送ることが可能になります。

UGC(User Generated Content)の活用

UGC、つまりユーザー生成コンテンツは、現代のマーケティング戦略において不可欠な要素です。特に健康食品の市場において、消費者の生の声や実体験は他の何よりも説得力があります。

UGCの考え方は、企業が直接的にプロモーションするのではなく、消費者が製品の魅力を発信することに焦点を置いています。

以下のポイントが、UGCを効果的に活用するための鍵となります。

UGCを効果的に活用するポイント

ポイント内容
ユーザー発信の内容本質的にUGCは、企業側からの制作物ではなく、消費者が自発的に生成し公開するコンテンツです。この真実性が、新たな顧客の信頼を築く基盤となります。
SNSとECサイトのレビューInstagramやFacebookなどのソーシャルメディアプラットフォームや、ECサイト上の商品レビューは、UGCの主要な発信地です。これらのプラットフォームでのポジティブな口コミや評価は、他の消費者の購入決定に大きな影響を与えます。
コミュニケーションによる差別化健康食品の機能だけでは差別化が難しい場合、企業は積極的に消費者とのコミュニケーションを図り、その対話を通じて製品の独自性を際立たせます。ユーザーが体験を共有することで、製品への関心が高まり、ブランドの信頼性が増します。

健康食品業界で成功を収めるためには、これらのUGC戦略を活用し、消費者の声を大切にすることが不可欠です。自然発生的なユーザーの声は、製品の信頼性を高め、広範囲にわたる潜在顧客にリーチするための強力なツールとなります。

CRM(Cutomer Relationship Management)の役割

CRMは日本語にすると、顧客関係管理や顧客関係マネジメントにあたります。つまり、顧客の情報を正確に把握し、それを基盤にしてビジネス拡大を測ることをさしています。

CRMでは、顧客との良好な関係を構築したり、維持したりすることが必要になるため、徹底的な顧客視点が必要になります。

CRMの成功は、顧客満足度の向上とそれに伴う長期的な顧客価値(LTV)の増加に直結します。CRMの効果的な適用には以下の三つの主要な考え方が含まれます。

CRM適用における考え方

考え方ポイント
顧客ニーズに対応するCRMの最も基本的な目的は、顧客のニーズや期待を理解し、それに応じて対応することです。これには、顧客の過去の購買履歴や好み、フィードバックを分析し、カスタマイズされたサービスや製品を提供することが含まれます。
顧客満足度を高めてLTVを向上させる顧客満足度を高めることで、顧客の継続的なロイヤリティを確保し、それによってその顧客からの生涯にわたる利益(LTV)を最大化します。健康食品市場においては、製品の効果が顧客の期待に応えることが特に重要です。
コスト削減と仕事の効率化効果的なCRMの導入は、マーケティング活動や顧客サービスの効率を高め、それによって全体的な運営コストを削減します。例えば、データ駆動型のアプローチを採用することで、不必要なマーケティングコストを削減し、より効果的な顧客対応が可能になります。

健康食品の現状・トレンド

コロナ禍を経て、健康への意識が高まり、多くの消費者が健康食品への興味を深めています。この変化は市場における需要の拡大を示しており、健康食品業界にとっては大きなチャンスです。

しかし、市場が成熟し競争が激化する中で、企業は新たな3つの課題に直面しています。それぞれの内容について解説します。

情報過多

インターネット上で健康食品に関する情報が溢れており、消費者はその正確性や信頼性を判断しづらくなっています。これが、製品選択の際の混乱や決断の遅れにつながることもあります。

価格競争の激化

多くのプレイヤーが市場に参入することで価格競争が激しくなり、利益率が低下しやすい状況が生まれています。この結果、ブランド間での差別化がさらに重要な要素となっています。

購買プロセスの複雑化

デジタル化の進展により、消費者の購買プロセスが変化しています。従来は「認知 → 興味関心 → 比較検討 → 購入」の流れでしたが、現在は「検索 → 認知 → 興味関心 → 比較検討 → 購入 → 共有」というステップが加わり、購買決定に至るまでのプロセスがより詳細で複雑になっています。

特に、「共有」のステップは、購入後の顧客の体験が他の潜在顧客に影響を与える重要な要素です。

これらの現状とトレンドを踏まえ、健康食品を扱う企業は、顧客とのコミュニケーションを強化し、情報の透明性を高めることが求められます。

また、価格だけでなく品質やブランドの物語性、顧客体験を通じての差別化が、成功への鍵となるでしょう。

健康食品マーケティングの成功事例

成功しているブランドの具体的な例を3つ紹介します。実際に健康食品市場での成功事例を見ることで、効果的なマーケティング戦略のイメージを掴みましょう。

強みとトレンドをプロモーションした「ヤクルト」

ヤクルトの「Yakult1000」は、健康食品市場での成功例として注目されています。この製品は、自社の強みと市場トレンドを見事にマッチングさせることで、市場において確固たる地位を築きました。

  1. 製品の強みと市場ニーズの結合:「Yakult1000」は、特に現代人が抱えるストレスや睡眠の問題に焦点を当てた製品です。このような日常的な悩みに対応する機能性を前面に出すことで、消費者の直接的なニーズに応えています。
  2. 健康トレンドへの適応:健康への意識が高まる中、消費者はより専門的な製品を求めています。ヤクルトはこの需要に応える形で「Yakult1000」を市場に投入し、特定の健康問題に特化した製品として消費者に受け入れられました。

この事例からわかるように、ヤクルトは自社の製品開発とマーケティング戦略において、消費者の具体的な問題解決に注力し、その結果、高いブランド信頼性と市場での成功を実現しています。

ブランディングと商品力をPRした「グリコ」

グリコの「SUNAO」シリーズは、糖質オフの健康食品として市場において際立った成功を収めています。このブランドの成功は、効果的なブランディングと商品力、そして洗練されたPR戦略によるものです。

  1. ブランディングと商品開発:「SUNAO」は、糖質オフ商品に対する一般的なネガティブなイメージを払拭するために開発されました。味や食感が損なわれることなく健康を支える選択肢を提供することで、消費者の期待を超える製品となりました。
  2. 広範なPR戦略の展開:グリコは「SUNAO」の認知度を高めるために、テレビCMやウェブ広告を積極的に展開しました。さらに、消費者が直接参加できるイベントを開催することで、ブランドへのエンゲージメントと親しみを深めました。
  3. シリーズ展開による市場の拡大:「SUNAO」は一つの製品に留まらず、アイスクリームやヨーグルト、デザートなど、多様なカテゴリーに展開しました。これにより、異なる顧客層のニーズに対応し、製品ラインを強化しています。

このようにグリコは「SUNAO」を通じて、ブランディングと商品力の強化、そして多角的なPR戦略を組み合わせることで、健康志向の消費者に新しい選択肢を提供し、市場での成功を確固たるものとしました。

独自コンセプトを訴求した「Arepa(アレーパ)」

ニュージーランド発の飲料ブランド「Arepa(アレーパ)」は、「ブレインドリンク」という独自のコンセプトで市場に革新をもたらしました。このブランドは、脳機能と健康を結びつける製品を提供し、認知機能の向上やストレスの改善を訴求することで、消費者の関心を集めています。

  1. 独自の製品コンセプト:「Arepa」はブレインドリンクとして、脳の健康をサポートすることをメインのコンセプトとしています。この明確でユニークなアプローチは、他の健康食品との差別化に成功しました。
  2. 科学的根拠の提示:「Arepa」は製品の効果を裏付けるために、積極的な臨床試験に投資しています。この科学的アプローチは、消費者に対して製品の信頼性と効果を強調する重要な要素となり、市場での認知度と信頼度を高めました。
  3. 健康効果の訴求:製品は認知機能の向上だけでなく、ストレス改善にも寄与するとされています。これにより、精神的および物理的健康を重視する広範な顧客層を引きつけています。

「Arepa」の成功は、独特の製品コンセプトとその科学的な裏付け、そして健康効果の明確な訴求によって支えられています。これらの要素が組み合わさることで、健康食品市場における顕著な地位を確立しました。

食品に関するマーケティングの基礎知識

健康食品のマーケティング戦略を立案する際には、一連の具体的な手順を踏むことが効果的です。以下のステップに従うことで、戦略を系統的に進め、市場での成功を高めることが可能です。

  1. 内部環境・外部環境の分析:企業の強み、弱み、機会、脅威を詳細に分析します。この情報は、市場内の競争状況や業界のトレンドを理解するために不可欠です。
  2. ターゲットの特定:製品を購入しそうな顧客層を明確に定義します。ターゲット市場のニーズ、行動、特性を把握することが重要です。
  3. 提供する価値の決定:消費者に提供する独特の価値や解決策を決定します。これには、製品のUSP(独自の販売提案)が反映されるべきです。
  4. 提供方法の決定:製品を市場に提供する方法を計画します。これには、販売チャンネル、プロモーション戦略、価格設定などが含まれます。

詳しい内容については、以下の記事でさらに深く紹介しています。このアプローチを通じて、戦略的かつ効果的なマーケティング計画を構築する基盤が整います。

健康食品のマーケティングでおさえておくべき2つの法律

健康食品をマーケティングする際には、特定の法規制を遵守することが極めて重要です。特に以下の二つの法律は、健康食品の販売と広告において重要な役割を果たします。

薬機法

薬機法は健康食品の広告やラベリングにおいて、医薬品的な表現を制限しています。これにより、製品が医薬品と誤認されることを防ぎ、消費者の誤解を避けることが目的です。具体的な対策としては以下のような点が挙げられます。

・効能効果を言わない
・体の特定部位を言わない
・病名・症状を言わない

具体的な対策の詳細は以下の通りです!

効能効果を言わない

健康食品は「治療や予防」を目的とする医薬品とは異なります。

そのため、具体的な疾患の治療や予防効果があるという表現は避ける必要があります。

たとえば、「視力低下の予防に効果的である」「関節の痛みに効く」などの表現は避けるようにしましょう。

体の特定部位を言わない

特定の体の部位や器官に対する効果を具体的に言及することも制限されています。これにより、製品が特定の健康問題に対する直接的な治療効果を持つと誤解されることを防ぎます。

たとえば、「膝の痛みがよくなる」「耳が聞こえやすくなる」のような、具体的な体の部位に言及する表現は避けるようにしましょう!

病名・症状を言わない

病名や具体的な症状への効果を示唆する表現も禁止されています。

これは、製品が医薬品としての効果を持つかのような印象を与えることを防ぐためです。

たとえば、「熱に効く」「風邪が治る」などの表現は避けるようにしましょう。

これらの対策を遵守することで、健康食品の企業は法的な問題を避けながら、消費者に安全で信頼性の高い情報を提供できます。また、適切な情報提供はブランドの信頼性を高め、消費者からの信頼を得るためにも重要です。

景品表示法

景品表示法は、消費者を誤認させるような不当な表示を禁止することが目的です。特に健康食品のマーケティングでは、次のような表現が違反対象となります。

  1. 医薬品と誤解を招く表現:製品が医薬品のような効果や能力を持つと誤解させるような表現。
  2. 非常に良いものと思わせる表現:科学的な根拠に基づかない過度に良い効果を暗示する表現。
  3. お買い得と思わせる表現:実際よりも価格的に有利であるかのように誤解させる表現。

これらの問題を避けるために、以下の対策を講じることが推奨されます。

景品表示法違反にならないように確認するべきこと

確認事項内容
表示内容の客観的根拠の確認製品に関するすべての広告やラベルに記載される情報が事実に基づいているか、客観的な根拠が存在するかを確認します。これには科学的研究や試験結果が含まれることが理想的です。
不当表示の事例との照合過去に不当表示と判断された事例と自社のマーケティング戦略や表示内容を比較し、同様の過ちを犯していないかを検証します。これにより、同じ過ちを繰り返すリスクを避けられます。
取引先の情報確認供給元や販売先が提供する情報が正確で信頼できるものであるかを確かめます。特に原材料や製品内容に関する情報は、その正確性が非常に重要です。

これらの対策を徹底することで、健康食品の企業は法的な問題を避けるとともに、消費者の信頼を得られます。また、ブランドの信頼性を損なうことなく、安全かつ適切な情報提供が可能となります。

まとめ

健康食品市場で成功するためには、独自性を打ち出すUSP、顧客の声を活かしたUGC、効果的なCRM戦略が重要です。

市場の関心は高まっていますが、情報過多、価格競争、複雑な購買プロセスへの対応が必要です。法規制の遵守も欠かせません。これらを踏まえた明確で効果的なアプローチが市場での成功を導くのです。

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