食品マーケティングを基礎からおさらい!事例やトレンドも詳しく解説します

食品マーケティングを基礎からおさらい!事例やトレンドも詳しく解説します

最終更新日:2024/04/17

自社で開発した食品を消費者に届けるためにはどのような方法があるのでしょうか。

実は、食品のマーケティングはトレンドの動きが激しく、流行の手法を押さえた上で商品のPRをしていくことが重要です。

この記事では、企業で成功したマーケティング事例を踏まえつつ、食品マーケティングの基礎について解説します。

最後まで読めば、食品マーケティングの基礎的なことは網羅できるので、最後までお読みください!

食品マーケティングの基礎知識

食品マーケティングの基礎知識

早速ですが、食品マーケティングにもおさえておくべき「基本」があるのをご存知ですか?

マーケティングを成功させるには、成功した企業なら必ず実践している「基礎知識」を理解しておく必要があります。

食品マーケティングの基礎知識として、以下2点を解説します。

  • 食品業界におけるマーケティングの役割
  • 食品マーケティングの4つの基本原則

1.食品業界におけるマーケティングの役割

少子高齢化が進む昨今において、人口減少による食事回数自体の減少は、食品業界における売上に影響を与えることは必至です。

多数のラインナップを展開する手法は、いよいよ見直しを迫られる時期が到来しました。

業界内でも問題提起されているとおり、新しい価値やおいしさの開発が大切になります。

では「おいしさの開発」とはどのようなことなのでしょうか?

「おいしさ」は、口にする人の好き嫌いで決まる、きわめて主観的な基準です。

「この商品はこんなにおいしいのに何故売れないのだろう」という声をよく聞きますが、それは高品質であってもお客様に「おいしい」と思ってもらえていないからです。

マーケティングは「利益を上げるために商品を買ってもらえるようにするための施策(の集合)」です。

買ってもらえるようにするためには「お客様の心を動かし購入行動をとってもらう」施策をとることが大切です。

食品の場合、お客様の心を動かす最も優先すべき施策は「おいしいと思ってもらう」ようにすることです。

つまり、「おいしさ」を期待させる商品化が大切なのです。

それがトライアル、リピートユースを促進します。

つまり「おいしさ」はマーケティングで作るのです。

2.食品マーケティングの4つの基本原則

マーケティングの基本は次のようになります。

  1. 誰に(セグメンテーション、ターゲティング)
  2. どのような価値を(ベネフィット)
  3. どのように自社の強みを生かして(技術力、コスト力、営業力、ブランド力など)
  4. どのように具体化するか(商品、サービス、価格、流通、広告・販売促進)

このように、どのように利益を上げて行くかを考えるのが「マーケティング」です。

現在の分野、市場でどのように利益を上げて行くかが最大の課題になりますので、食品業界においてもマーケティングが一番大切なことになります。

食品業界の優れたマーケティング事例

 マーケティングの具体例として、SNSと企画の成功事例を紹介します。

1.SNSマーケティング成功事例(日清食品)

日清 カップヌードルのマーケティング画像

引用:日清食品

★アカウントの人格化と商品のビジュアルを活かすマーケティングを展開

日清食品では、長年親しまれているカップヌードルのデザインや具材を素材とした面白投稿で、消費者との距離を縮めるブランディングに成功しています。

日清食品株式会社のカップヌードル専用SNSサイトは、商品情報や新商品情報、アレンジレシピだけでなく、消費者の小ネタ投稿を日々更新しているので、毎日訪問しても飽きないコンテンツで溢れています。 

宣伝部のSNS担当スタッフは、企業発信的な表現とカップヌードル以外でも成立する投稿を避けることを心がけているとのこと。

こうしたUGC(ユーザー共創コンテンツ)で共鳴と共感を呼び、消費者とのコミュニケーションを深めることに成功しています。

2.企画成功事例(湖池屋)

小池屋 プライドポテト

引用:湖池屋

★他社製品と差別化し高級路線で勝負

湖池屋が2017年から販売しているのが「KOIKEYA PRIDE POTATO」です。

湖池屋が2016年にコーポレートブランドを統合したことに伴い、湖池屋の原点を見直し、湖池屋のプライドをかけて生み出されたのがこの商品です。

日本産のじゃがいも100%使用するこだわりで、価格も一般的なポテトチップスより高めに設定されています。

この商品のパッケージは、白を基調とし、かつ文字数も少ないシンプルなデザインになっていました。

そのため、一般的なポテトチップスとは違う印象を消費者に与え、他社製品との差別化に成功したと言えます。

またテレビCMは、一見普通の女子高生が「100%日本産のイモを使っているの」という単純な歌詞を歌い上げるものであり、視聴者にインパクトを与え話題を集めました。

その結果、発売当初は3種のフレーバーがありましたが、あまりの人気に生産が追いつかず、2種が一時販売休止になるほどのヒット商品になりました。

新商品開発と食品マーケティングの関係性

新商品開発と食品マーケティングの関係性

マーケティングと商品開発は、似た存在でありながらベクトルの向きに大きな違いが見られます。

商品開発はその名のとおり、商品を企画・開発することにある反面、マーケティングは完成品を市場へ売り出す仕事です。

とはいえ、商品開発もまた間違いなくマーケティングを見据えておこなうのが基本であるため、関係性は深いです。

また、一発目のマーケティング展開で成功する例は珍しく、開発部へ状況を持ち帰り、再度練り直すケースも少なくないため、相互に作用し合える関係性が求められます。

効果的な食品マーケティングの実践

では、食品のマーケティングを効果的に行い、売上を向上させるにはどうすれば良いのでしょうか?

マーケティングを効果的に行うには、以下のような点が重要ですので、順番に解説していきます。

  1. 内部環境・外部環境の分析
  2. ターゲットの選定
  3. 提供する価値の決定
  4. 提供方法の決定

1.内部環境・外部環境の分析

まずは自社で、内部環境と外部環境について整理してみることが重要です。

内部環境とは自社に関する情報、外部環境とは市場、顧客、競合他社等に関する情報のことです。


マーケティング戦略では特に、外部環境の市場調査が重視されます。

市場にどのような顧客がどれくらいのボリュームで存在しているのか、またその市場にはどのような需要があり、そして自社の商品・サービスに対してどのような印象や考えを持っているのかを調査し、分析することで明らかにします。

内部環境と外部環境を分析する際、役に立つフレームワークを以下で紹介します。

①3C分析

3Cは業界環境の構成要素である「Customer(顧客・市場環境)」「Company(自社環境)」「Competitor(競合環境)」を表しています。マーケティング戦略を立てるうえで押さえておくべき業界環境を漏れなく把握するために用いられるフレームワークです。

具体的には、下記要素以下のような観点で分析します

  • Customerでは市場規模、地域構成、市場の成長性、購買決定プロセス等
  • Companyでは市場シェア、収益性、ブランドイメージ、技術力や人的支援等
  • Competitorでは競合数、参入障壁、競合他社の戦略、各社の強み・弱み

上記の観点で市場を分析することにより、自社にとってのKSF(Key Success Factor:重要成功要因)を見つけることが3C分析を行う主な目的です。

②SWOT分析

SWOTとは、内部環境(自社内)と外部環境(市場・競合他社等)のプラス面・マイナス面を表しています。具体的な要素は下のとおりです。

  • SO戦略(強み×機会)
    自社の強みを活かしてビジネスチャンスを創出するための戦略
  • WO戦略(弱み×機会)
    自社の弱みを改善・補完してビジネスチャンスを創出するための戦略
  • ST戦略(強み×脅威)
    自社の強みを活かして脅威を回避するための戦略
  • WT戦略(弱み×脅威)

自社の弱みがもたらす脅威を最小限に食い止めるための戦略

SWOT分析は既存事業の改善点の発見や、新規事業の将来的なリスクの把握に役立ちます。

マーケティング戦略の策定時には、自社ならびに市場の現状と将来性を客観的に把握しやすくなるでしょう。

2.ターゲットの特定

市場調査の結果に基づいて、商品のターゲットを設定します。ターゲティングに際しては、市場を、類似した「属性」「行動特性」「心理的特徴」等を持つ顧客グループに分割する、市場細分化(セグメンテーション)を行うことが多いでしょう。
市場を細分化すれば、そのグループ内に存在する共通ニーズに対応した戦略が立てられます。

さらに、細分化した市場の中からより具体的なターゲットを特定することで、もっとも効果的なアプローチ方法の考案が可能です。

3.提供する価値の決定

次に商品を通じて「提供する価値」を明確化します。顧客が自社商品によって得られるメリットや満足感、あるいは解決できる課題等を示す必要があります。
また、競合他社や競合商品との差別化ポイントを打ち出すことも大切です。

これらにより、市場における自社と自社商品のポジショニングを設定します。

4.提供方法の決定

商品やサービスが提供する価値を設定したら、次に決めることは、商品・サービスを提供する方法です。

顧客に対して自社商品の価値をどのように伝達・訴求し、どんなプロセスを経て販売するのかを、価格も含めて設定します。
商品・サービスの提供の方法を決める際、役に立つフレームワークとして知られているのが「4P分析」と「4C分析」です。

①4P分析

4Pは売り手側の視点とも言われ、「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(プロモーション)」を意味します。

4P分析とは、この4つの戦略領域を分析することを意味する言葉です。

また、4Pの適切な組み合わせを検討することを、マーケティングミックスと言います。

具体例として、大手コーヒーチェーンのスターバックスで考えてみましょう。

  • Product(製品):
    コーヒー、ティー、フラペチーノ、フードアイテムなど幅広い商品を提供しています。季節限定のドリンクやエコフレンドリーな商品オプションも導入しており、多様な顧客のニーズに応えています。
  • Price(価格):
    価格設定は、高品質なコーヒー豆を使用し、優れた顧客体験を提供することを反映しています。また、プレミアム価格戦略により、高級感を演出しています。
  • Place(流通):
    店舗は世界に展開しています。高交通量のエリアや観光地、ショッピングモール内にも位置しています。これにより、多くの顧客にアクセスしやすい場所でサービスを提供しています。さらに、オンラインオーダーとピックアップサービスも強化しています。
  • Promotion(プロモーション):
    新製品の導入時、季節のキャンペーンや限定オファーを行っています。SNSを活用したマーケティング、忠誠プログラムであるスターバックスリワードを通じて、顧客エンゲージメントを促進しています。

これらの4Pを適切に組み合わせることで、スターバックスは効果的なマーケティング戦略を展開しています。例えば、プレミアムな価格設定と高品質な製品は相互に補完しあい、ブランドのイメージを高めています。流通戦略とプロモーション戦略も密接に連携し、顧客に対して一貫したメッセージと体験を提供しています。

このように4Pの各要素は、ブランドの全体的な市場戦略の中で重要な役割を果たしています。

②4C分析

4Cは買い手側の視点と言われ、「Customer Value(顧客価値)」「Customer Cost(顧客が負担するコスト)」「Convenience(顧客利便性)」「Communication(顧客とのコミュニケーション)」を意味します。

4C分析とは、この4つの買い手側の視点を考慮しながら自社の商品・サービスを分析することを意味する言葉です。

引き続き、スターバックスを例にご説明いたします。

  • Customer Value(顧客価値):
    顧客に高品質のコーヒーとカフェ体験を提供することで顧客価値を創出しています。店舗の快適な内装やフリーWi-Fiの提供、バリスタによるパーソナライズされたサービスが、単なるコーヒーを超えた価値を顧客に提供しています。
  • Customer Cost(顧客が負担するコスト):
    商品価格はプレミアム価格帯に設定されていますが、その価格は品質、ブランド体験、便利さに対する投資と考えられています。顧客は単に金銭的なコストを支払うだけでなく、時には店舗までの移動時間や行列での待ち時間といった時間コストも負担しているのです。
  • Convenience(顧客利便性):
    顧客の利便性を高めるために、多くの店舗を戦略的な場所に設置しています。都市部のオフィス街、ショッピングモール、大学キャンパス内など、アクセスしやすい場所に店舗があります。また、モバイルアプリを通じての事前注文や支払い機能を提供し、顧客の待ち時間を短縮しています。
  • Communication(顧客とのコミュニケーション):
    顧客との双方向コミュニケーションを重視しています。ソーシャルメディアを活用したプロモーション、顧客フィードバックの収集等を通じて顧客との関係を強化しています。このアプローチにより顧客の声を直接製品開発やサービス改善に活かすことができ、顧客の期待に応え続けることが可能となっています。

現在では、こうした4Cを起点としたプランニングによって4Pを導き出し、マーケティングミックスを行うやり方が主流となっています。

食品マーケティングの最新トレンド

食品マーケティングの最新トレンド

2023年の振り返りと2024年に起きるであろうことを、生産者・消費者の意識に分けてまとめ、さらに「2024年トレンドキーワードと消費者意識」を考察し、3つのキーワードを選定しました。

1.パフォーマンス重視消費

値上げや節約を意識しながらもパフォーマンスを重視して、価値があると判断した商品は購入するという消費行動です。

コスパ(コストパフォーマンス)、タイパ(タイムパフォーマンス)、ヘルパ(ヘルスパフォーマンス)、スペパ(スペースパフォーマンス)の主に4つのパフォーマンスがあります。

2.シン•SDGs 消費者に求められるかたち

今や企業活動に欠かせないものとなっている「SDGs(持続可能な開発目標)」。 

サプライチェーンから外される、ステークホルダーからの支援を得られないなど、SDGsに取り組まないことはリスクともいえる状況です。

消費者の認知度も向上し、積極的に取り組んでいる企業は印象が良く、商品選択時の判断材料としている若年層も増えています。

3.対物流クライシス

物流クライシス(物流の2024年問題)とは、運送事業の時間外労働規制・人手不足・高齢化等によって生じる問題で、物流コスト増加や商品への価格転嫁が懸念されています。

まとめ

いかがだったでしょうか?今回は食品マーケティングの基礎から、成功例、トレンドを解説しました

コロナ禍を経て、新たな時代へと突入した食品業界。マーケティングの力で、自社商品が消費者に検討される状態を作ることが、企業の生きる道かもしれません。

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