健康食品の開発費用相場は形状がポイント!原価率や計上方法も解説します
最終更新日:2024/05/30
一般的に商品の開発費用の相場は、開発する商品のジャンルや種類などによって異なります。
今回ご紹介する「健康食品の開発費用」は、原材料だけでなく、パッケージの形状や素材など商品開発にかかるコストや製造の難易度によって大きく変動します。
今回は健康食品の開発費用について、原価率や計上方法も含めて詳しく解説していきます。
健康食品の開発はOEMへの依頼が基本
そもそも"健康食品のOEM"とは、「発注元の健康食品ブランド」を「健康食品を製造するメーカー」が受託して製造を行い、商品化することをいいます。OEMに依頼すれば、健康食品の開発で、製造設備や製造技術が自社になかったとしても、自社ブランドの健康食品を初期費用を抑えて作ることができます。
健康食品の開発や製造は、原材料の選定からはじまり、製造の技術や申請・法律の知識など専門的な知識や設備が必要です。このような専門的な知識や設備がなければ、販売したい健康食品のアイディアがあったとしても、自力で商品化を実現するのは難しいでしょう。
OEMに依頼すれば、開発や製造のような専門的な部分を委任できます。これは、開発や製造における製造コスト(設備や人員など)の削減に繋がり、さらに自社は企画や販売に集中できます。
また、OEMメーカーの中には健康食品の製造にとどまらず、企画から販売までサポートしてくれるケースもあります。
上記のようなメリットがあるため、健康食品の開発はOEMへの依頼が基本です。
健康食品の開発費用
一般的に健康食品の開発費用は、製造する健康食品の形状によって変動します。
費用相場について健康食品の形状別にまとめると以下のようになります。
- ハードカプセル:50万〜150万円
- ソフトカプセル:150万〜250万円
- 打錠:50万〜100万円
(※相場価格は10万個(粒)単位)
製造工程がシンプルな「顆粒」や「打錠タイプ」の健康食品は、製造工程が複雑なものに比べると費用を抑えられます。
ただし、健康食品の開発費用は、製品の形状だけでなく、原材料やロット数、梱包の素材、送料などさまざまな要素によって金額が変動するため注意してください。
あらかじめ自社が想定している予算と合うか不明なときは、複数のOEMメーカーから見積もりをもらい、比較検討するのがおすすめです。
費用にかかわる項目については以下の記事で詳しく解説しています。
健康食品の開発費用は原価率が重要
サプリメントをはじめとする健康食品市場はさまざまな商品が開発・販売されており、今後ますます価格競争が激しくなっていくことが予想されます。
こうした激戦区である健康食品市場を勝ち抜く為に必要なのは、「むやみやたらに商品を安売りすること」ではありません。
健康食品に限らず、どんなビジネスでも『仕入れは安く、高く販売する』ことが市場を勝ち抜くポイントになります。
すなわち、サプリメントをはじめとする健康食品の製造に必要な費用を把握し、開発する段階でなるべく原価率をおさえることが重要です。
原価率は、売上を上げるためにかけた費用の割合を指します。売上に対してどのくらい原価が占めているのか、その計算方法は【原価率=原価÷売上×100】で算出できます。
原価率は低い状態であるほど望ましいです。
原価率を重要な指標として設定することで、サプリメントなどの健康食品の収益性が見極められるようになります。
原価率を下げるためのポイント
原価を抑えるにはどうすれば良いのでしょうか?原価率を下げるために重要な以下の4つのポイントについてご紹介します。
- 流通量の多い原料を選ぶ
- パッケージ替え製造を検討する
- 汎用の梱包資材を使う
- 対応できる製造工程が多いメーカーを選ぶ
なお、これら4つのポイントは"必ず行わなくてはならない"というわけではありません。あくまでも原価をおさえる方法の参考としてご覧ください。
流通量の多い原料を選ぶ
原価率を下げるための一つ目のポイントは『流通量の多い原料を選ぶ』です。
そもそも原価の大きな割合を占めているのが原料価格のため、原料の価格をおさえることが原価率を下げることに繋がります。
他社商品と差別化を図るために、流通量が少ない「特殊な原料」を使用すると、必然的に費用が高くなってしまいます。
サプリメント市場やプロテイン市場では、こうした特殊な原料を使い差別化を図る動きが盛んです。
例えば、プロテインはソイプロテインやホエイプロテインが一般的に流通していますが、差別化のために「酵母由来」のプロテインや「コオロギ」を使用したプロテインを開発した企業があります。
このような原料は、興味を持たれやすく、ニュースでも話題になりやすいでしょう。ただし、その一方で原料の流通量が少ないため、原価は高くなりがちです。
原価を下げるためには、流通量が多い原料を選ぶことが大切です。
パッケージ替え製造を検討する
原価率を下げるための二つ目のポイントは、『パッケージ替え製造を検討する』です。
パッケージ替えとは、メーカーが保有しているレシピをそのまま自社の健康食品に流用することをいいます。
つまり、メーカーが考えた中身を使いつつ、自社ブランドの製品として新しくパッケージングしたものを販売するということです。
パッケージ替えをするのであれば、新しく設計を考え直す必要がなく、メーカーは自社開発したものを製造するだけなので原価をおさえることができます。
健康食品のパッケージについては、以下の記事で詳しく解説しています。
汎用の梱包資材を使う
原価率を下げるための三つ目のポイントは、『汎用の梱包資材を使う』です。
健康食品のパッケージにかかる費用は、大量に生産されている包装資材を調達することでおさえることができます。
例えば、日本国内で流通しているサプリメントのパッケージは、ほとんどがアルミ製のパウチ(袋)が採用されています。
このアルミ製のパウチは、コーヒーやレトルト食品にも使用されています。
そのため、一般的なパッケージとして大量に生産されており、安くコストをおさえることができるのです。
対応できる製造工程が多いメーカーを選ぶ
原価率を下げるための四つ目のポイントは、『対応できる製造工程が多いメーカーを選ぶ』です。
対応できる製造工程が多いメーカーであれば、製造を一社で完結でき、複数のメーカーに外注せずに済みます。
また、メーカーによってはパッケージのデザインも自社でおこなっている場合があり、デザイナーへの依頼コストや採用コストの削減の意味でも期待できます。
開発後の勘定科目の整理方法
開発費用をどのように計上すべきかわからない方もいるかもしれません。
ここでは開発後の勘定科目の整理方法について説明します。
勘定科目 | 「開発費」原則として開発費は、支出時に費用(売上原価又は販売費及び一般管理費)として処理することが定められています。ただし、繰延資産に開発費を計上することも可能です。この場合には、「支出のときから5年以内」のその効果が及ぶ期間にわたり、定額法やその他の合理的な方法によって規則的に償却しなければなりません。 |
表示される場所 | 繰延資産 |
計上時期 | 開発費を支払ったとき |
注意点 | 1税務上の取り扱い:開発費は、法人税法上も"繰延資産"となりますが、損金の額に"会社が計上した開発費の償却額"を算入することができます。 2消費税の区分:開発費はその内容に応じて、"消費税の対象外"または"仕入税額控除の対象"となります。 |
<仕訳例>
普通預金から新規事業の市場開拓目的のために特別に支出した広告宣伝費1,500,000円を振り込んだ場合。
- 開発費¥1,500,000-
- 普通預金¥1,500,000-
決算において、開発費の償却費を300,000円計上した場合。
- 繰延資産償却費¥300,000-
- 開発費¥300,000-
まとめ
健康食品の開発費用相場は、原材料だけでなく、パッケージの形状や素材など商品開発にかかるコストや製造の難易度によって大きく変動します。
健康食品の開発は、製造に必要な費用を把握し、開発する段階でなるべく原価率をおさえることが重要です。
減価率を下げるために、まずは今回ご紹介した原価を抑えるポイントを実践してみてはいかがでしょうか。