薬機法と健康食品の関係性とは?表現の適切・不適切を具体的に解説します

薬機法と健康食品の関係性とは?表現の適切・不適切を具体的に解説します

最終更新日:2024/04/25

「健康食品を売り出したいが、薬機法に抵触する表現がわからない」

「薬機法に触れずに、自社商品の魅力を伝えたい」

健康食品を取り扱うメーカーの担当者の方のなかには、このような悩みがある方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は「薬機法で医薬品扱いにならない健康食品の表現例」と「医薬品扱いになる健康食品」を中心に解説します。健康食品の広告やLP制作時の課題が解決できる内容のため、ぜひ最後までご覧ください。

薬機法とは

薬機法とは、医薬品等の品質や有効性、安全性の確保を目的として制定された法律です。医薬品をはじめとした人の身体に直接的な影響を与える商品・サービスに対し、厳しい規制を行っています。

薬機法で健康食品は定義されていない

健康食品は、薬機法上で定義されておらず「一般食品」としての取り扱いになります。厚生労働省においては、健康食品を以下のように定義しています。

いわゆる「健康食品」と呼ばれるものについては、法律上の定義は無く、医薬品以外で経口的に摂取される、健康の維持・増進に特別に役立つことをうたって販売されたり、そのような効果を期待して摂られている食品全般を指しているものです。

引用:厚生労働省「いわゆる「健康食品」のホームページ

ただし「効果を謳うような表現」や「症状改善を思わせる表現」を用いると、一般食品であっても医薬品とみなされる可能性があります。この場合、薬機法違反となるため注意が必要です。

薬機法で健康食品が医薬品とみなされた場合の罰則

薬機法で健康食品が医薬品とみなされた場合「広告規制違反」と「医薬品等の取り扱いに関する違反」に該当する可能性があります。それぞれの罰則は、以下の表のとおりです。

広告規制違反の種類内容罰則
誇大広告等実際のもの以上に利点を強調した広告を出すこと2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金または併科
特定疾病用の医薬品等に関する広告制限違反医療関係者以外の一般消費者に向けて広告を出すこと1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金または併科
未承認医薬品等に関する広告医薬品等に承認されていないものについて、製造方法・効能・効果または性能に関する広告を出すこと2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金または併科
医薬品等の取り扱いに関する違反の種類内容罰則
処方箋医薬品の販売規制違反処方箋を持たない人に対して処方箋医薬品を販売すること3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金または併科
違反医薬品の販売医薬品を無許可で製造・販売すること2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金または併科

罰則の内容は違反の種類によって異なりますが、最大で3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科されます。さらに誇大広告等を行った事業者は、厚生労働大臣より課徴金納付命令が下される可能性があり、対象行為で得た売上の4.5%相当を課徴金として支払う必要があります。

罰則の程度にかかわらず、消費者の安全・健康を守る観点からも、健康食品の販売時には薬機法の遵守を徹底しなければなりません。

薬機法で医薬品扱いとならない健康食品の表現例

健康食品の広告やLPなどを運用するうえで、薬機法で医薬品扱いとならない表現方法を把握したうえで商品の魅力を伝える必要があります。ここでは、薬機法に抵触しない表現を以下の2通り紹介します。

  • 「栄養補給」を使った例
  • 「健康維持」を使った例

また、薬機法に抵触する表現の判断が難しい場合は、薬機法サポートが受けられる「医師監修ナビ」へご相談ください。広告やLP制作時の原稿を、薬機法に精通した弁護士が添削いたします。

医師の評価基準を満たした商品に関しては「医師推奨マーク」をWebサイトや広告に掲載可能です。医師を起用したPRで商品価値を最大化でき、健康食品・ヘルスケア商品の売上向上に寄与するサービスのため、ぜひご活用ください。

「栄養補給」を使った例

健康食品の表現に「栄養補給」を使用した場合、表現自体は問題ないものの、文脈の前後関係によっては医薬品扱いになる可能性があるため注意が必要です。

医薬品扱いになる表現とならない表現の具体例は、以下のとおりです。

表現例理由
医薬品扱いになる表現病中病後の体力低下時の栄養補給に病的な栄養成分の欠乏状態であるため
~~(栄養成分)は、体内で動脈硬化の防止に役立っています栄養機能食品で認められた成分・表現を超えるため
医薬品扱いにならない表現働き盛りの方の栄養補給に病的な健康状態に関係のない対象年齢等は問題ないため
発育時の栄養補給に病的な健康状態に関係のない対象年齢等は問題ないため

参考:東京都保健医療局「医薬品的な効能効果について

病的な栄養成分の欠乏状態を示唆したり、栄養機能食品で認められた範囲を超える表現をしたりすると、医薬品扱いになるリスクがあります。

一方、働き盛りの方や発育時の子供など、病的な健康状態に関係のない対象者の栄養補給という文脈であれば、医薬品扱いになりません。前後の文脈に注意して「栄養補給」の表現を使用しましょう。

「健康維持」を使った例

健康食品の表現に「健康維持」を使用する場合は、特に問題ありません。「美容」を併記した場合も同様です。「健康維持」を使用した表現の具体例は、以下のとおりです。

表現例理由
医薬品扱いにならない表現~~(栄養成分)は健康維持に役立つ成分です単に健康維持に重要であることを説明しているため
健康維持、美容のためにお召し上がりください単に健康維持に重要であることを説明しているため

参考:東京都保健医療局「医薬品的な効能効果について

単に健康維持に重要なことを説明しているだけで、医薬品のような効能効果を標榜しているわけではありません。そのため、「健康維持」という言葉を使っても、医薬品扱いにはなりません。

薬機法で医薬品扱いになる健康食品

健康食品が薬機法で医薬品扱いになる商品の特徴は、以下の4つです。

  • 医薬品の成分を配合
  • 医薬品と同等の形状
  • 用法用量を指定
  • 医薬品と類似した効能効果

医薬品の成分を配合

厚生労働省が定めている「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に1つでも該当する場合、医薬品として判断されます。

たとえば、植物由来の成分である「アロエ」や「カッコン」などはリストに掲載されているため、健康食品に含まれている場合は医薬品として判断されます。

以下のリンクから「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」の内容が確認できます。具体的な成分を把握したい方はご確認ください。

参考:厚生労働省「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」

医薬品と同等の形状

アンプル剤や舌下錠などの「医薬品的な形状」をしている健康食品の場合、医薬品との判別がしにくいため、医薬品とみなされます。

ただし、以下の場合は食品と判断されます。

  • 製品の品質管理が必要な場合
  • 容器などに「食品」である旨を明示している場合

したがって、形状だけで一概に医薬品と判断されるわけではなく、品質管理や容器への表示などの条件次第では、食品と判断される可能性もあります。

用法用量を指定

健康食品の説明において、服用のタイミングや量を細かく指定して明示すると、医薬品に該当します。

たとえば「1日3回、毎食後に2錠ずつ飲んでください」といった表現は避けましょう。「オブラートに包んでお飲みください」のように、服用方法を指定することも認められていません。

ただし、特定保健用食品・栄養機能食品に関しては、時期・間隔・量などの摂取方法を記載しても医薬品とみなされません。健康食品の説明文では、商品の種類によって記載内容を使い分ける必要がある点に注意しましょう。

医薬品と類似した効能効果

健康食品の広告で医薬品と混同される可能性がある効能効果を謳うと、薬機法違反になります。たとえば、以下のような表現は医薬品的効能効果に該当します。

体の機能の増強・増進を目的とする表現病気の治療又は予防を目的とする表現
体力増強精力回復老化防止新陳代謝の向上 など高血圧の改善ガンに効く糖尿病の治療に など

ただし、特定保健用食品や栄養機能食品で認められている効能効果は、医薬品には該当しません。薬機法で定められた範囲内で、根拠のある効能効果を正しく伝えましょう。

特定保健用食品・栄養機能食品と健康食品の違い

健康食品と混同されがちな食品に「特定保健用食品」と「栄養機能食品」があります。健康食品との最も大きな違いは、安全性や機能性について「科学的根拠」があるかどうかです。

特定保健用食品は、別名「トクホ」とも呼ばれます。体の生理化学的機能などに影響を与える、保健機能成分が含まれている食品を指します。

特定保健用食品として販売するにあたり、食品の有効性や安全性について国の審査を受けて許可を得なければなりません。承認された場合「お腹の調子を整える」「コレステロールの吸収を抑える」などの文言表示が可能です。

栄養機能食品は、ビタミンやミネラルなどの特定の栄養成分の補給のために利用される食品であり、その成分の機能が表示されている食品を指します。表示できる栄養成分は、ビタミンCをはじめとした13種類のビタミン、6種類のミネラル、1種類の脂肪酸です。

特定保健用食品として販売するにあたり、1日あたりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分量が、定められている上限・下限値の範囲内にある必要があります。加えて、摂取するうえでの注意事項も記載が必要です。特定保健用食品と異なり、許可申請が必要ない自己認証制度です。

健康食品の販売事業者は、特定保健用食品・栄養機能食品との違いを理解したうえで、自社製品の位置づけを把握しておきましょう。

健康食品の販売を成功させるにはマーケティングが重要

健康食品の販売を成功させるには、マーケティングの基本を押さえて戦略を策定し、施策を実行する必要があります。マーケティングの基本は、以下の4点です。

  • 誰に(セグメンテーション、ターゲティング)
  • どのような価値を(ベネフィット)
  • どのように自社の強みを生かして(技術力、コスト力、営業力、ブランド力など)
  • どのように具体化するか(商品、サービス、価格、流通、広告・販売促進)

このように、どのように利益を上げていくかを考えるのが「マーケティング」です。

より詳しい内容は、以下の記事で解説しているためぜひご覧ください。

薬機法に関連する健康食品へのよくある質問

薬機法に関連する健康食品へのよくある質問は、以下の2つです。

  • 体験談は使っても大丈夫?
  • リラックス効果を謳う表現は大丈夫?

体験談は使っても大丈夫?

体験談を使用する場合は、薬機法・景品表示法・健康増進法等に配慮する必要があります。たとえば、以下のような表現は法に抵触します。

  • このサプリを飲むだけで、わずか3週間で-10㎏痩せました!
  • 毎食後に2粒飲み続けたら、1週間でおなか周りがすっきりしました!

体験談の内容が事実だったとしても、断定的な表現や数字を用いた場合はエビデンスを求められることを認識しておきましょう。

リラックス効果を謳う表現は大丈夫?

「ココロ安らぐ」や「心リラックス」のように、具体性を持たせる場合は問題になる可能性が高いです。

特定部位の具体的な機能変化に関する表記は認められていないため「ココロ」や「心」を使用すると、精神という具体的な機能変化を示す表現とみなされる可能性があります。

まとめ

薬機法の遵守は、消費者の健康・安全を守ることにもつながります。また薬機法の範囲内で健康食品の魅力を伝えれば、消費者から信頼されるブランド作りにもつながります。

本記事で紹介した薬機法に抵触しない表現を参考に、自社商品の魅力を適切に消費者へ伝えましょう。

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